江戸時代の碁会所では碁も将棋も打てた。また銭湯の二階も社交場で湯上りに碁や将棋を打つ人もいた。
碁會所で見てばかり居るつよい奴
のいてゐるいっそ上手といっそ下手
この辺の光景は現代と変わらない。ほどほどの棋力が一番楽しい。
碁會所に常のあたまは素人めき
ご用を始めつめる碁会所
稽古所の休みを湯屋でうめている
碁会所に最初に現れるのは覚えたてで碁が面白くてたまらない初心者だ。新年早々から碁会所に通いつめる碁好きは、どこかの碁会所なら皆勤賞がもらえそうだ。さらに碁会所が休みの時には銭湯の二階にでばってまで打つ碁気違いもいる。
御用をはじめは年の初め、稽古所は碁会所、湯屋は銭湯の意味。
昼のみか初夜より碁屋に人たえず
はかどらぬ揃うた上手泣く席屋
しびり切らし敵同士笑うてたつ席屋
のどかさに盤の遊んで有る席屋
はやる碁会所、客足の遠のく碁会所いろいろだ。
碁会所は昼夜繁昌もある。上手の碁は長いのではやる碁会所では歓迎されない。碁会所が満杯で待たされている。あまり長く待たされるので今日はやめだと帰り支度。閑古鳥のなく碁会所もある。
初夜は戌の刻(午後八時ごろ), 席屋は碁会所である。
入リ王に成ルと見物碁へたかり
将棋は入玉になるとつめになるまで時間がかかる。そこで見物人は碁に移る。
もみくちゃな顔の集まる碁の会所
是を着ておじゃと碁打へ人をやる
そろそろと温石もたせ碁屋通い
碁會所へ笠着せてやる薬鍋
昔も碁会所には老人が多かった。でも老人を碁会所にやるには家族の世話やきが大変だ。
寒いからあの着物にしたら、懐炉も薬も忘れずに。
温石は懐炉の意味。
碁会所へ灸が済んだと呼びに来る
灸をすえている最中に来客。近所の碁会所で時間を潰してもらう。灸が済んだので客をむかえにやった。
女房に碁屋行きのだめ押され
氣がすんで碁屋の門いぬ老女房
江戸時代は吉原遊郭の全盛期。碁会所に行くといって吉原に通った輩が多かった。
家を出る時吉原ではなく碁会所ですねと念を押す女房や、本当に碁会所に行ったかどうか自分の目で確かめ来る女房がいる。